「業務効率化のためコンテナ技術を導入したいけど、安全性に問題はないのかな?」
「Web開発に役立つっていうけど、そもそもどういう技術なの?」
コンテナ技術に関して、上記のような疑問や悩みをお持ちの方も多いでしょう。本記事では導入の基本・メリット・デメリット・おすすめツールなど詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
コンテナ技術とは?
コンテナ技術は以下の3要素からなる仮想化技術です。
- コンテナ管理ソフトウェア:コンテナを実行するソフト
- コンテナイメージ:アプリケーション・ライブラリなどを一括したテンプレート
- コンテナ:コンテナイメージの実行アプリケーション
一般的な仮想化マシンは独自のOSを使って動くのに対し、コンテナ技術はホストのOSカーネルを共有して動作します。
導入や利用には専門的な知識が必要ですが、一度使い慣れてしまえばWeb開発や管理で非常に活躍するツールです。
コンテナ技術を導入するメリット
コンテナ技術を導入するメリットは以下の3点です。
- 低負荷&高速処理により生産性が向上する
- 環境への柔軟性が高くトラブルが起きにくい
- 開発サイクルが短縮できる
ゲストOSを介することなく起動できるコンテナ技術は、立ち上がりのスピードが1~3秒(※)と非常に速いのが特徴です。仮想化マシンは起動に1~3分かかるため、90%以上もの時間削減に繋がります。リソース消費が少ないことからコスト効率が良く、生産性の向上も期待できます。
さらに、コンテナ技術はローカル環境から本番環境まで同じ環境設定で実施できるので、開発サイクルを短縮できるのもメリットです。環境依存の問題が起きず、バグ修正や新機能をスムーズにリリースできるなど、Web開発の場で活躍するツールとなっています。
※数値は環境によって異なる
コンテナ技術を導入するデメリット
メリットの多いコンテナ技術ですが、以下のようなデメリットも存在します。
- 運用管理にはツールやスキルが必要
- ホストOSとアプリケーションの互換性に注意が必要
- 脆弱性管理が必要
仮想化マシンは一般化してから20年以上が経過しているのに対し、コンテナ技術は2010年代中頃から普及しはじめた比較的新しい技術です。運用管理に関するツールやスキルもこれまでとは異なるため、それらを学習し身に着ける必要があるでしょう。
また、コンテナ技術はホストOSを使用するため、コンテナイメージに積み込んだアプリケーションとの相性に注意する必要があります。「Windows」「macOS」「Linux」など複数のOS専用アプリケーションを使用する場合は、仮想化マシンの方が適しているかもしれません。
さらに、コンテナはホストOSのカーネルを共有しているため、カーネルが攻撃された場合、すべてのコンテナが危険にさらされるリスクがあります。外部からダウンロードしたコンテナイメージに脆弱性が含まれている場合、コンテナ全体が攻撃対象となることもあるため、脆弱性管理が重要です。
コンテナ技術のおすすめツール
コンテナ技術の導入を検討している方におすすめのツールは、以下の2つです。
- Kubernetes(クバネティス)
- Docker(ドッカー)
各ツールの特徴について紹介していくので、コンテナ導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
Kubernetes(クバネティス)
Kubernetes(以下、クバネティス)はGoogleが2014年に開発したオープンソースプラットフォームで、現在はCloud Native Computing Foundation(CNCF)が管理しています。
クバネティスの特徴はアプリケーションのデプロイから運用まで、すべて自動化できること。これにより、リソース消費も抑えつつスピーディーに運用管理が可能です。
ただし各手順が一元化できるクバネティスだからこそ、一度の攻撃で情報漏洩や複数サービスの同時停止などの問題に繋がりかねません。こうしたリスクを防ぐためには、外部のセキュリティツールを導入するなどの工夫が必要です。
Docker(ドッカー)
Docker(以下、ドッカー)はコンテナ型の仮想環境を簡単に構築できるツールです。ソフトウェア会社のDocker, Inc.が2013年に開発したオープンソースプラットフォームで、以下4つの要素をまとめてインストールできます。
- Dockerコンテナ
- Dockerイメージ
- Dockerfile
- Dockerレジストリ
さらに、Dockerにはプログラマが作成したイメージのアップロードやダウンロードができる「Docker Hub」という共有化サービスが存在します。基本的な利用は無料なので、さまざまなイメージを気軽に試しやすいでしょう。
Web開発の効率化にはコンテナ技術が最適!ただし脆弱性には要注意
軽量かつ同一環境の構築が容易なコンテナ技術は、Web開発を効率化したい方にとって非常に役立つツールです。開発テストやバグの修正といったリソースを割かれる作業も、コンテナ技術を取り入れればスムーズに行えるでしょう。 ただし、ホストOSのカーネルを共有することから、一度攻撃されればすべてのコンテナが危険にさらされるという脆弱性も併せ持っています。今後導入する予定があれば、コンテナに関するスキルだけではなく、外部セキュリティなどの情報についても事前にしっかり確認しておきましょう。